TLIグラフの説明
グラフ1:
グラフ1は、TLIとS&P500の実績(12取引日分右にずれている)を示す2軸の折れ線グラフです。2つの軸を選んだのは、大きさと測定尺度の異なる2つの変数の関係を説明するためです。以下で詳しく説明します。
左のY軸は、強気と弱気のインサイトのTLI比率を示しています。先に述べたように、臨界閾値は+/- 0.15です。TLIがこの閾値を超える瞬間も観察され、S&P500の動きの可能性が高いことを示唆しています。右のY軸は、12日間のS&P 500の値動きを%で表したものです。これは、12日間の価格の偏差を示すためであり、SPXのチャートが価格チャートと全く違って見える理由を説明しています。
TLIとSPXの値が大きく違ってみえるのは、TLIの値が1日1回しか更新されないのに対し、SPXの価格は取引日中ずっと変動しているためです。
2021年1月1日から2022年6月7日まで、TLIとS&P500の12日間調整後のリターンの間には61%の相関があり、このことは2つのグラフが個々で対応する類似性を持っていることを意味しています。
グラフ2:
グラフ2は、TLI値(強気なインサイトと弱気なインサイトの比率)とその日から12日後のSPXの予想値幅を散布図にしたものです。レンジは2021年と2022年の過去のデータを見て算出しています。
X軸はTLI値、Y軸は12日後のSPXの予測価格です。これは、TLI値から想定されるSPXの水準を示すもので、オプション取引に役に立ちます。
データポイントの大部分が80%の信頼区間内にあることから、TLI値とSPX価格の間に強い正の相関があることがわかります。基本的に、TLIの値が0より大きい場合、SPXの価格は上昇し、TLIの値が0より小さい場合、SPXの価格もともに下落しました。さらに、原点を挟んでほぼ対称的な分布をし(TLIの絶対値が大きくなるほど値動きの大きさが比例して大きくなっ)ており、強気と弱気のポジションで指数が同じように機能していることがわかります。
上部の緑のラインは、TLI値に関連する過去のSPX価格の上位10%、赤のラインはSPX価格の下位10%を表しています。 これらの線より先のポイントはすべてTLIによって正しく予測されていることがわかります。 さらに、誤ったTLIアラートの大半はX軸に近いものであることがわかります。言い換えれば、TLIが誤っている場合でも、損失はわずかであることがわかります。
なぜ±0.15の臨界値が機能するのか y軸は12日前との相対的な価格の変化として解釈でき、x軸は0(変化なし)を表します。全ての X軸より下の強気TLIポイントとY軸より上の弱気TLIポイントは、TLIが示す方向とは逆の方向に市場が動いた例です。しかしながら、ほとんどの「間違った」ケースはY軸の周辺で発生しており、これはTLIの値が0に近かったことを意味します。最も「正しい」ポイントを維持しながら間違った例を取り除くために2本の垂直線を引くと、±0.15の線が最も効率的であることがわかります:70%から86%に的中率を高め、同時に年間の37%を閾値内に収めています。
的中率は何を意味するのか TOGGLEインサイトと同様に、的中率はTLIが正なのか負なのか、S&P 500はその後の値動きを参照しているかといった過去の指標になります。これはSPXの12日間のリターンを正(強気TLI)か負(弱気TLI)の二者択一で考えるものです。 高い的中率は、歴史的にTLIが市場の方向性を予測する上で極めて正確であることを意味し、したがって、異常値が存在しない限り全く間違った方向性を予測する可能性が低いことを意味します。
グラフ 3:
グレンジャー相関は、2つの時系列の変数間の「グレンジャーの因果関係」を_予測_するためにテストすること、つまり、ある時系列が別の時系列の予測に有用かどうかを予測することによりテストします。これは「ボトムアップ」操作であり、別々の時系列のデータ生成プロセスは独立であると仮定し、相関を見つけるためにテストされることを意味します。
この場合、TLIがSPXを_予測する_かどうかを検証し、両時系列が独立であるため、グレンジャー相関が適用されます。
帰無仮説とは、2つの変数には統計的関係がないという説で、この場合 - TLIは12日後のSPXの方向をはっきりとは予測しない、という仮説を指します。 それとは逆に対立仮説は、- TLIは12日後のSPXの方向を明確に予測します。
これらの仮説を検証するために、p値(帰無仮説が真であると仮定して観察された結果を得る確率)が生成されなければなりません。帰無仮説は、p値が臨界値より小さい(より統計的に重要である)場合にのみ棄却する(そして対立仮説が受け入れられる)ことができます。
ピアソンの r は、相関係数としても知られ、2つのデータセット間の共分散を標準化した尺度です。 正の値は比例関係を示し、負の値は反比例関係を示します。標準化されているので、ピアソンのrの値は正から-1までの範囲にある。
図表3を振り返ると、Y軸をピアソンのr、X軸をSPXに対するリードの日数として定義することができます。
TLIとSPXの反比例関係は論理的に矛盾しているので、y値が0より小さい全ての場合は相関がないと考えることができます。
グラフでは、12日目(オレンジ色の放物線の頂点)で相関(ピアソンのr)が最も高くなります。見ての通り、12日未満の水平移動でもそれ以上でも、頂点の両サイドの勾配は大きく下がっています。
黒い線は何を表しているのか SPXの自己相関(時系列とそれ自体との相関)を表しています。 グラフ3では、SPXの自己相関を12日から24日にわたってグラフ化したものを見ています。 前述したように、負のr値は相関がないことを示すと解釈できます。つまり、SPXの価格は12日後以降の値とは相関がないことを意味します。このグラフは、TLIが単なる自己相関を捉えている訳ではないことを示すことを目的にしています。言い換えれば、SPXの自己相関は、TLIのパフォーマンスを比較するための基準点として以外は、無関係です。